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Webサイトなどを作成する場合、Webデザインをいかに見栄えが良く見やすいものにできるかが重要なポイントとなります。どれだけ魅力のある企業でも、Webデザイン次第では良い点を有効的にアピールできません。

 

それでは、Webデザインとは一体どのようなものなのでしょうか。この記事では、Webデザインの基礎知識をご紹介するとともに、Webデザインに必要なスキルや基本ルールなどをご紹介します。Webデザインについて詳しく知りたいという方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

そもそもWebデザインとは?

 

そもそも、Webデザインとはどのようなものなのでしょうか。ここでは、Webデザインの概略やWeb制作との違いについて解説します。

Webデザインとは

Webデザインとは、Webサイトのデザインのことを指します。Webサイトのデザインを決定する要素としては、主に以下の項目が挙げられます。

  • 色合い
  • イラスト
  • フォント
  • アニメーション素材
  • 画像

上記のような要素について依頼者の要望をヒアリングし、それに合わせてWebサイトをデザインする必要があります。Webデザインは、一般的にWebメディアやホームページの制作を指すケースが多いです。

 

ただし、最近ではWebサービスや広告用ランディングページのデザインも含む場合も増えています。

Web制作との違い

Webデザインと似た言葉として、Web制作があります。一見すると、WebデザインとWeb制作は同じものと思われがちですが、実際には要求されるスキルが異なります。

 

具体的には、Web制作の場合は以下のようなスキルを要求されることが多いです。

  • 企画スキル
  • デザインスキル
  • コーディングスキル
  • マーケティングスキル

Web制作において特に重要となるのが、マーケティングスキルです。特に、SEOと呼ばれるインターネット検索でヒットしやすくする対策をするスキルが問われます。

 

Webデザインは主に見た目だけを整える作業が中心になるのに対し、Web制作の場合はマーケティング全般まで請け負うケースが多いです。

Webデザインの仕事の流れ

実際にWebデザインの仕事を進める際には、以下の流れで進行します。

  1. 企画・立案
  2. デザイン作成
  3. コーディング作業
  4. メンテナンス

上記はあくまでも、一般的な流れとなります。各ステップの詳細は、以下のとおりです。

1. 企画・立案

Webデザインにおいて最初の工程として、企画と設計を実施しなければなりません。企画・立案とは、ターゲットは誰で、どのようなサイトにするのか、そしてどのような行動をとってもらうかなどの方向性を決めることです。

 

クライアントの目的が多かったり、関係する担当者が複雑だったりした場合、目的がぼやけがちです。そこで、関係部署に対してヒアリングしたり、調整したりして目的を明確化する必要があります。そして、以下のような情報を明確にしたら企画とサイトのコンセプトを決定します。

  • 目的や目標
  • ターゲット
  • リサーチした情報

コンセプトは、Webデザインのプロジェクトにおいて基本方針となるため、クライアントなどとしっかりと整合しておくことが大切です。

2. デザイン作成

コンセプトを決定したら、実際のWebサイトのデザイン作業に移行します。デザイン作業の最初に、ラフを作成する必要があります。ラフとは、この時点で大まかなイメージを作り上げることです。いきなり、Webサイトをベースにデザインしていっても、それが無駄になる可能性があるため、ラフでイメージをある程度作り上げていきます。

 

ラフが完成したら、ワイヤーフレームの作成をします。ワイヤーフレームとは、Webサイトの全体図をワイヤー(線)とフレーム(枠)で作成したものであり、Webサイトのイメージやレイアウトの設計図となるものです。

 

ワイヤーフレームを作成する際には、各デバイスでの見やすさなどを、クライアントと相互チェックしながら進めましょう。ワイヤーフレームが完成したら、使用する画像や文言などをワイヤーフレームにはめてデザインを施します。

3. コーディング作業

デザインが完成したら、実際にWebサイトを構築するためにコーディング作業をおこないます。コーディング作業とは、デザインを基にして実際にWebサイトを作り上げる作業のことです。

 

コーディングでは、HTMLやCSSマークアップ言語を用いて見出しをつけたり、リンクを設定したりします。コーディングは、専門的な知識が問われる作業で、高いスキルが要求されます。また、いかにワイヤーフレームをWebサイトとして具現化できるかが重要です。

 

ひととおりのコーディングが完成したら、正しく表示されるかをチェックしてください。開発環境となるデバイス以外にも、モバイルデバイスなどあらゆるパターンの確認が必要です。

4.メンテナンス

Webデザインが完成したら、リリース作業をしてクライアントに納品します。Webデザインは、成果物となるWebデザインを納品して終わりではなく、クライアントをサポートする業務も含まれるケースが多いです。

 

たとえば、納品したものに不具合があった場合、修正対応が必要です。また、運用に関する業務まで任されている場合は、保守やメンテナンスなどにも対応する必要があります。

 

例えば、関連するソフトウェアのアップデートに対応したり、CMSシステムのバグに対応したりしなければなりません。どこまで対応するのかについては、契約時にしっかりと決めておきましょう。

Webデザインに必要なスキル

Webデザインは、誰でもすぐに対応できるものではありません。Webデザインに必要なスキルとして、以下のようなものが挙げられます。

  • デザインに関するスキル
  • ツールを使用するスキル
  • コーディングスキル
  • マーケティングスキル
  • コミュニケーションスキル
  • マネジメントスキル

各スキルについて、詳しく解説します。

デザインに関するスキル

Webサイトの場合、見栄えの違いはあるものの構成されている要素はほぼ同じです。あまりに非現実的なデザインを採用すると、ユーザビリティが悪くなるため、見栄えの良さだけでなく使いやすさも重視しなければなりません。

 

上記を加味して、いかにデザイナーとしてのセンスを発揮するかが重要になります。そこで、デザインに関する基本的なスキルは必須です。Webサイトのデザインは、その時代に応じてトレンドがあるものです。最新のトレンドにも柔軟に対応できることも重視されます。特に、最近ではスマートフォンで閲覧される機会が多くなっていることから、レスポンシブデザインへの対応が必要です。

ツールを使用するスキル

Webデザインをおこなううえで、各種ツールを使いこなすスキルも必要です。Webデザインでよく使われる作成ツールとしては、以下のジャンルが挙げられます。

  • グラフィックデザイン
  • UIデザイン
  • テキストエディタ

各ジャンルの具体的なツールは、以下のとおりです。

Webデザインでよく使われる作成ツール(グラフィックデザイン)

Webサイトで使用するロゴやバナーの作成、画像の編集をおこなう際には、グラフィックデザインツールの導入が不可欠です。代表的なグラフィックデザインツールの中でも、PhotoshopやIllustratorがおすすめです。

 

PhotoshopやIllustratorはクオリティの高いデザインを作成できる一方、完璧に使いこなすためには高いスキルが必要です。また、費用が高い点もデメリットとなるため、GIMPやInkscapeなどを利用して作業するケースもあります。特に、Inkscapeは無料で利用できるツールですが、Illustratorと操作性が似ているという特徴があります。

 

Webデザインでよく使われる作成ツール(UIデザイン)

Webサイトを誰でもわかりやすく操作できるように、UIデザインは重要な要素です。そこで、UIデザインを容易におこなえるUIデザインツールを使用して作業できるスキルも必要となります。

 

UIデザインツールとして有名なのがAdobe XDであり、構想をそのままデザインできるというコンセプトのツールです。Adobe XDではチュートリアルが用意されており、簡単に使い方が学べるものの、より専門的な操作が必要な場合は別途スキルを習得しなければなりません。

 

UIデザインツールは、ほかにも以下が有名です。

  • Sketch
  • Figma
  • InVision Studio
  • Framer

ツールによって使い勝手が異なるため、体験版などを使用して使い勝手を試したうえで選定すると良いでしょう。

 

Webデザインでよく使われる作成ツール(テキストエディタ)

テキストエディタとは、その名のとおりテキストを編集するツールのことです。テキストエディタは、Webサイト制作時だけでなくプログラミングでも活用されています。

 

ドキュメントツールとして有名なWordやWindows標準ツールであるメモ帳などでも対応できますが、HTMLやJavaScript、CSSの記述をサポートするツールがあると便利です。テキストエディタとしては、以下のツールが有名です。

  • Visual Studio Code
  • Brackets
  • Atom
  • Sublime Text 3
  • Dreamweaver
  • Liveweave
  • CODER

単純なテキストエディタであれば、特に悩むことなくすぐに使いこなせます。一方、入力補助が付いたテキストエディタの場合、使いこなすためにはスキルを習得する必要があります。

コーディングスキル

Webデザインは、構成自体は大きな変化はないものの、コーディングやプログラミングについては日々進化しています。そこで、常に新しいコーディングに関するスキルを習得しておくことが重要です。

 

最低限、HTMLやJavaScript 、CSSに関するスキルの習得が必須です。また、Adobe Animateを用いたWebサイトを構築するためには、ActionScriptによるプログラミングができるスキルがあると良いでしょう。

 

コーディングスキルを身に付けるうえで、意識したいのがコードの読みやすさです。複数人でWebデザインを担当する場合はなおさらであり、ほかの人が修正作業する際に理解しやすいようなコードを書けるスキルが問われます。

マーケティングスキル

Webデザイナーにとっても、マーケティングのスキルがあると作業できる幅が大きく広がるというメリットがあります。特に、SEOやSEM、Web広告などに対する知識やスキルは重要であり、特に成果を求めるクライアントからは求められるスキルとなります。

 

SEOを意識したサイトを構築する場合、テキストはとても重要な要素です。また、コピーライティングに関するスキルを高めれば、より幅広い分野での活躍が期待できます。

コミュニケーションスキル

Webデザインを担当する場合、クライアントのニーズを把握したうえで、ニーズに合ったアウトプットをする必要があります。そうした点からも、クライアントに対してヒアリングを適切におこなえるかは重要なスキルです。ニーズを把握するためには、コミュニケーションスキルが必須となります。

 

また、Webデザインを進めるうえで定期的にミーティングを開催する場合がありますが、その中で今の進捗状況や問題点などを適切に伝えることができるかも重要です。

 

また、複数のWebデザイナーで手分けして対応する場合、コミュニケーションを取りあいながら対応できるスキルがある方が作業が円滑に進みます。

マネジメントスキル

複数人でWebデザインを担当する場合、マネジメントスキルも重要となります。一人ですべての工程を作業する場合であれば、自分のスケジュール管理だけをおこなう形で問題ありません。

 

一方で、複数人でWebデザインする場合でプロジェクトマネジメントまで依頼されている場合は、プロジェクト全体の進捗をトレースしなければなりません。また、場合によっては進捗が遅れている部分についてサポートしたり、クライアントとの納期調整をしたりする必要もあります。すべてのケースで必要になるわけではないものの、マネジメントスキルも習得しておきたいスキルの1つです。

Webデザインの基本ルールとは

Webデザインをおこなう際には、自分の考えだけでなく基本ルールを守ったうえで対応しなければなりません。Webデザインの基本ルールとして、主に以下が該当します。

  • Webサイト
  • レイアウト

各項目について、詳しく解説します。

レイアウトに関する基本ルール

レイアウトに関する基本ルールについては、基本レイアウトとレイアウトを構成するパーツを理解する必要があります。各項目について、詳しく解説します。

Webサイトの基本レイアウト

Webサイトの基本レイアウトをまとめた結果が以下のとおりです。

レイアウト名称 概要
シングルカラムレイアウト それぞれのパーツを縦ならびにして配置したレイアウト。レスポンシブデザインとの相性が良い特徴がある。
マルチカラムレイアウト 複数のカラム(列)により構成されたレイアウト。コンテンツの隣にサイドメニューを配置できるため、他のページへの誘導もスムーズにおこなえる。左右どちらかにサイドバーを配置した2カラムレイアウトと、左右両方にサイドバーを配置した3カラムレイアウトがある。
フルスクリーンレイアウト コンテンツをWebサイト全体に配置したレイアウト。サイトのファーストビューに、すべての画像やキャッチコピーを表示させる。画像や動画を大きく表示させたい場合に向いたレイアウトとなっている。
グリッドレイアウト 画像やテキストなどの要素を、格子状に配置しているレイアウト。スタイリッシュなデザインを構築しやすく、多くの情報を一度に表示できるメリットがある。
ブロークングリッドレイアウト 決められたグリッドではなく、整ったものをあえて崩して変化させたレイアウト。ユーザーに対して印象的なデザインを作り出せるメリットがある。
ノングリッドレイアウト 自由に要素を配置したレイアウト。開放感や躍動感を生み出し、アクティブな印象を与えることができる。

それぞれのレイアウトには、メリットとデメリットがあるため最適なレイアウトを選定できるかが重要です。

レイアウトを構成するパーツ

レイアウトを構成するパーツとしては、以下があります。

要素名称 概要
ヘッダー Webサイトの最上部に位置するパーツ。最初に目に留まる部分となり、もっとも伝えたい情報を伝える重要な役割を果たす。
ナビゲーション(メニュー) トップページから他のページへアクセスするためのリンクが設置されたメニュー。他のページに共通して表示させるものは、グローバルナビゲーションと呼ばれている。
メインコンテンツ Webサイトの本文を記載するパーツのこと。サイトのメイン部分となり、ユーザーが知りたい情報をわかりやすく表示させる必要がある。
サイドバー メインコンテンツの右または左に配置するパーツのこと。サイト内の回遊をサポートする役割があり、店舗や会社の基本情報やSNSのバナーなどを掲示する場合が多い。
フッター Webサイトの最下部に位置するパーツのこと。サイトを閲覧したユーザーに対し、次の行動を促進する役割がある。

各パーツには以上のような役割があり、それぞれに最適なコンテンツを盛り込めるかが重要です。

レイアウトデザインに関する基本ルール

レイアウトデザインに関する基本ルールとして、デザインの4原則が有名です。デザインの4原則とは、以下のような内容となっています。

原則 概要
近接 関連する要素をグループ化して、整理することで情報を関連付けること。たとえば、ECサイトの場合は商品画像と商品名、キャッチコピーなどを近接させることでユーザーに情報を伝えやすくする。
整理 関連する要素を一定の基準に従って配置して、視認性を上げること。整理を意識してレイアウトにすれば、要素同士のつながりを直感的に理解できるという特徴がある。
反復 同じ要素を一定の基準で繰り返すことにより、一貫性を持たせること。Webサイトで使用するカラーリングやフォント、アイコンなどを統一すれば、デザインに一貫性を持たせられる。
コントラスト 要素に強弱をつけることで、特に重要な情報を協調して明確にする。近接、整理、反復を意識してデザインした際に情報が薄まってしまう懸念があるが、コントラストを意識すれば重要な情報を相手に伝えやすくなる。

上記は、Webデザインだけでなくデザインをおこなう際の一般的な考え方であり、常に意識したいものです。

配色に関する基本ルール

Webサイトで使用する配色に関しては、色の3要素を意識する必要があります。

要素 概要
色相 赤や青などの色味を示す。色相は人間の心理に影響を与える。
彩度 色の鮮やかさを示す。彩度が高いと派手な印象があり、低いと地味な印象がある。
明度 色の明るさを示す。明度が高いと軽快な印象を与え、低いと落ち着いた印象を与える。

また、配色を決めるルールとして以下があります。

  • 反対色や補色を用いる
  • 同じ色相で揃える
  • グラデーションを用いる

他にも、使用する色数を3色までに抑えて、伝えたい内容がぼやけないようにするなどの対応が必要です。

フォントに関する基本ルール

タイトルや本文で重要な役割を果たしているのが、フォントです。ブランドや会社の雰囲気をユーザーに伝えるためには、フォントの持つイメージは重要な要素です。

 

日本語フォントには、大きく以下4つが存在します。

  • 角ゴシック体
  • 丸ゴシック体
  • 明朝体
  • その他デザインフォント

どのフォントを使用すれば良いかの細かなルールは存在しないものの、フォントの持つ雰囲気がWebサイトとマッチしているかという観点で決めてください。また、ユーザーが読みやすいフォントである必要があります。

まとめ

Webデザインを担当する場合、基本ルールを守って対応する必要があります。そのうえで、依頼者が要求するレベル以上のものを提供しなければなりません。

 

Webデザインの基礎知識を正しく習得して対応できるかが大きなポイントです。この記事で紹介した内容を参考にして、依頼者に対して満足を得られる対応を図りましょう。

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