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近年、ビジネスやマーケティングにおいてブランディングの重要性が高まっています。ブランディングとは、企業や商品・サービスに特徴や価値を与え、顧客・消費者に認知・信頼・愛着をもたせるための戦略的な手法です。
成功したブランディングには、ゼロからのスタートでも大手企業として成長できるヒントが隠れています。この記事では、成功したブランディングの事例を紹介しながら、ブランディング戦略の考え方やノウハウを紹介します。企業ブランディングを成功させて自社を伸ばしたいという方はぜひこの記事を参考にしてみてください。
ブランディングの重要性
ブランディングは、製品やサービス、会社や個人のイメージを形成し、消費者に知られることで、信頼性や信頼感を生み出す重要な役割を担っています。
ブランディングによって、企業や個人が特定のメッセージや価値観を伝え、競合他社と差別化することができます。その結果、企業や個人の認知度や評判、そして売り上げの向上につながることがあるのです。
また、良いブランディングは、長期間にわたって顧客忠誠度や顧客獲得、競争優位性を維持できます。
ブランディングの成功事例
ここからは、実際にブランディングに成功した企業の実例を見ていきましょう。
【企業ブランディング】ジョンソンエンドジョンソンのブランディング事例
ジョンソンエンドジョンソンは、医療機器や医薬品メーカーとして知られていますが、幅広い分野で事業を展開しています。
ジョンソンエンドジョンソンは、ブランドのミッションでもあり、行動指針にもなっている「我が信条(Our Credo)」が有名です。
「我が信条(Our Credo)」では、最優先とされる顧客の安全を第一と考えています。彼らの「我が信条(Our Credo)」は、コーポレートブランドとしての公正さや誠実さ、あるいは社会的使命に則して一貫した姿勢や行動を取り続けることを目標としています。
その結果、一貫性のあるブランド戦略が確立され、ブランド認知度やイメージの向上につながったのです。
【企業ブランディング】星野リゾートのブランディング事例
引用元:星野リゾート公式HP
星野リゾートは、温泉旅館やリゾートホテルを展開しています。彼らのブランディングは、自分たちのこだわりを体験してもらうという新しい形の「ホスピタリティ」を表していることで知られています。
星野リゾートのブランディングは「その土地だからこそできる非日常」です。
限定的なブランドコンセプトを導入し、優雅で上質なリゾートライフを提供することでブランドイメージを確立し、高付加価値な商品として認知されました。
【商品ブランディング】レッドブルのブランディング事例
引用元:レッドブル公式HP
レッドブルのブランディング事例から学べるのは「ターゲティング」や「ポジショニング」の重要性です。
「冒険者を称え、翼をさずける」というブランドアイデンティティを掲げ、「選手たちと共に、無名なスポーツや大会を世に広める」という「選手=主役」の姿勢を貫いています。
その結果、レッドブルの「エキサイティングな毎日を過ごす冒険者」に「翼を授ける」という「独自の役割(=ブランドポジショニング)を築き上げ、今では多くの若者から支持を得ています。
レッドブルは1本275円と、エナジードリンクの中では高価にもかかわらず、若者から指名買いされるブランドに成長しています。
【商品ブランディング】NIVEAのブランディング事例
引用元:NIVEA公式HP
NIVEAは、世界中で愛されているスキンケアブランドです。そのブランド成功の秘密は、70年以上も変わらぬブランドポジショニングにあります。
その理念の通り、NIVEAの製品は「潤い」と「保湿」に注力し、スキンケアクリームを中心に、日焼け止め、リップクリーム、デオドラント剤などを提供しています。
NIVEAのブランドポジショニングは、「肌がふれあう。ただそれだけで、人は人をあたためることができる。まもることができる。一生の素肌に。」です。「信頼」や「愛情」、「やさしさ」というブランドイメージは十分に浸透し、世界中に多くのファンがいます。
【サービスブランディング】スターバックスのブランディング事例
引用元:スターバックス公式HP
スターバックスは、世界中にコーヒーカルチャーを広めた成功例として知られています。そのブランド成功の秘密は、コーヒーショップとしての魅力だけでなく、主役は「人」というブランディングにあります。
人とはいわゆるコミュニティや心の豊かさです。コーヒーはあくまでも人々の心を豊かにするための脇役だというのがこのブランディングでの考え方です。その理念の下、スタイリッシュな空間やオリジナルドリンクなど、おしゃれで流行に敏感な“ライフスタイルブランド”としてのイメージを作ってきました。
それにより、スターバックスは消費者にとって「居心地のよい特別な場所」というイメージが定着したのです。
【サービスブランディング】オリエンタルランドのブランディング事例
引用元:オリエンタルランド公式HP
オリエンタルランドの運営する東京ディズニーリゾートは、エンターテインメントの最高峰として世界中で評価されています。
そのブランド成功の秘密は、ディズニーならではのストーリーテリングによるゲストへの感動体験と、業界屈指のサービス品質の提供にあります。
採用活動などにおいても、社員がブランドイメージを体現していて、ビジネス面でのつながりだけでなく、心のコミュニケーションを行うことで、ブランドイメージを強化しました。
【インナーブランディング】アサヒビールのブランディング事例
引用元:アサヒビール公式HP
アサヒビールは、高い利益率を誇る日本のビールメーカーの1つであり、最も成功したブランドの1つとして知られています。彼らの成功の鍵の1つは、インナーブランディングにあると言われています。
アサヒビールが実施するインナーブランディングは、「支店長ワークショップ」です。
アサヒビールは、社員が自分たちが働いている会社に誇りを持てるよう、全国各地の量販業務に携わる支店長を対象に、ブランドの価値が伝わる商品の陳列方法や営業側の意識改革を促進してきました。
社員とのコミュニケーションを通じてビジョンや価値観を共有して、社員のモチベーションを高めてきた結果、日本の大手ビールメーカーとなったのでしょう。
【インナーブランディング】伊那食品工業のブランディング事例
引用元:伊那食品工業公式HP
伊那食品工業は、寒天メーカーで、国内市場の80%のシェア、海外市場の15%のシェアを誇る世界No.1の会社です。
伊那食品工業は、社員に「いい会社を作りましょう」という理念を浸透させ、創業以来、一度のリストラをすることなく会社を成長させてきました。
いい会社とは、会社を取り巻くすべての人々が「いい会社だね」と言ってくれる会社のことです。その理念に基づいた地域貢献も積極的に行っており、2006年にはグッドカンパニー大賞を受賞しています。
「関わる人を全て幸せにしたい」という精神は社員にも受け継がれています。生産現場が持つ困難さを社員自身が理解し、商品に込める情熱を高めてきました。社員に理念を共有させ、ブランドの価値観を浸透させることが、伊那食品工業の成功の秘訣となったのでしょう。
【リブランディング】ヤンマーのブランディング事例
引用元:ヤンマー公式HP
ヤンマーは、日本のトラクター・船舶エンジンメーカーとして1970年代に経営危機に立たされた後、リブランディングを実施し、世界で成功を収めました。
ヤンマーは、経営危機を立て直すべく、自社の持つ技術力を強調し、「農業を支える技術」をコンセプトにリブランド戦略を打ち出たのです。その結果、ブランド戦略は成功し、現在手をかけている事業は農業だけでなくマリンインダストリー、建設機械、さらにはエネルギーへと広がっています。
「最大の豊かさを最小の資源で実現し、次の100年に向けて持続可能な資源循環型社会の実現を目指す」というブランドが顧客・世界に果たすべき約束を確実に果たし、今では世界中で知られるブランドとなっているのです。
【リブランディング】とらやのブランディング事例
引用元:とらや公式HP
とらやは、江戸時代から続く和菓子の老舗で、伝統を重んじるブランドイメージで知られています。しかし、和菓子は近年は若い世代には受け入れられづらくなっていました。
しかし、とらやとして培ってきた「とらやの和菓子の良さ」は捨てることなく、和菓子をベースにしつつ洋菓子風のアレンジを行った商品展開や、TORAYA CAFEやヨーロッパへの展開でリブランディングを行いました。
その結果として、外国人や若年層などの新しい顧客層を獲得しています。芯を持った改革で、リブランディングに成功した事例と言えるでしょう。
【BtoBブランディング】IBMのブランディング事例
引用元:IBM公式HP
IBMは2017年に、「コグニティブコンピューティング」と呼ばれるブランディングを行いました。従来は「定型処理の効率化」が主な役割だったシステムに、「解釈」や「判断」といった作業まで担当させるようにしたのです。
結果として、人がより創造的で革新的なアイデアを生み出す仕事に集中できる環境を整えました。
企業間で「コグニティブコンピューティング」の理解が広まり、その提唱者であるIBMに対する期待感情が高まったのです。企業間で価値が上がっていったことが、IBMのBtoBブランディングの成功の秘訣と言えるでしょう。
【採用ブランディング】小松製菓のブランディング事例
引用元:小松製菓公式HP
小松製菓は、採用ブランディングの一環として、従業員の生活を最後までサポートする施策を実行しています。
定年までに20年以上勤務した社員を対象に、年2回遺族に年金を渡す「小松年金」や、残業が多い食品業界で働くことが苦手な若手層に対し、働きやすい環境を整備してきました。
この採用ブランディングは、「社員の家族も含めて生活支援を行っている」と話題になりました。結果として新卒採用定着率が向上し、採用ブランディングを成功させたのです。
まとめ
ブランディングには、商品ブランディングやインナーブランディング、リブランディング、BtoBブランディング、採用ブランディングと、さまざまな分野があります。その共通点は、時代のニーズに合わせた顧客層の考え方や、ユニークで差別化されたアプローチが必要だということです。
ブランディングによって、企業や個人が特定のメッセージや価値観を伝えられます。また、競合他社と差別化することもでき、その企業や個人の認知度や評判、そして売り上げの向上にもつながっていくでしょう。